アレルギーとは
人には病原体などの異物が体内へ侵入しようとすると、それを排除しようとする働きがあります。これを免疫反応と言います。この免疫反応が何らかの原因で上手く働かなくなってしまい、本来であれば体に無害とされるものにまで反応し、それを排除しようと、くしゃみ、鼻水、咳、喘鳴、呼吸困難などの呼吸器症状や頻脈、血圧低下などの循環器症状、眼のかゆみ、流涙などの眼症状、嘔吐、血便などの消化器症状、紅斑、蕁麻疹などの皮膚症状などがみられている状態がアレルギーです。
アレルギーと思われる症状が疑われる場合は、速やかに当院をご受診ください。
主なアレルギー疾患
アトピー性皮膚炎
アレルギーになりやすい体質(アトピー素因)の方で皮膚のバリア機能が低下していることによりかゆみをともなう皮疹が慢性的にみられる状態がアトピー性皮膚炎です。
生後2ヵ月を過ぎた頃から発症し、かゆみの強い湿疹がみられるようになります。年齢によって発症部位や症状などが異なります。乳児期では、頭部や顔面を中心に体幹、四肢にもひろがるかゆみを伴う湿疹がみられるようになります。1歳を過ぎると肘や膝の屈曲部(内側)などに症状のでる部位が変わってきます。掻くことで皮膚症状が悪化していきます。
アトピー性皮膚炎を一回の治療で完治させることは困難です。まずスキンケアをしっかりしましょう。入浴やシャワーで清潔を維持し、保湿剤をしっかり継続して使用してください。ステロイド系の外用薬やタクロリムス軟膏なども適切に使用することが重要です。かゆみが強い場合は、抗ヒスタミンの内服薬を使用します。
気管支喘息
アレルギー反応やウイルス感染などによって気道の慢性の炎症から気道が狭窄し、ゼーゼー、ヒューヒューなどの呼吸音(喘鳴)が聞こえる、湿った咳、息が苦しいなどが気管支喘息の症状です。
ハウスダスト、ダニ、カビ、花粉、特定の食べ物などのアレルギーが挙げられます。まずはアレルゲンを特定し、判明すればそれを遠ざける環境づくりを行っていきます。さらに風邪をひく、ストレス、気温や気圧の変化といったことで、気管支が刺激を受けると喘息発作が止まらず、ひどい場合は呼吸がしにくくなることもあります。ちなみに気管支喘息の患者さまは、アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患を併発していることもあります。
治療に関してですが、喘息発作が起きている場合は、気管支拡張剤や去痰剤を使用します。
また発作を繰り返している場合、発作を引き起こす原因である慢性的な気道の炎症を抑えていくための治療として、抗アレルギー剤内服や吸入ステロイド薬を行っていきます。
アレルギー性鼻炎
何らかのアレルゲンが鼻の粘膜に付着してアレルギー反応が起き、粘膜が炎症や腫れを引き起こして、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状がみられている状態がアレルギー性鼻炎です。アレルギー性結膜炎を併発することもあります。
アレルギー性鼻炎は、大きく通年性アレルギー性鼻炎と季節性アレルギー性鼻炎に分けられます。通年性では1年を通して症状がみられアレルゲンとしては、ハウスダスト、ダニが挙げられます。季節性とは、限定した時期にのみに現れるアレルギー性鼻炎になります。季節性の大半は花粉によるもので、スギであれば春の時期、イネ科の植物であれば夏の時期、ヨモギやブタクサであれば秋の時期に花粉が飛散するため、花粉が飛散する時期にのみ症状がみられます。
治療に関してですが、アレルゲンが特定している場合は、原因とされているアレルゲンを防ぐための環境づくりを整えます。そのうえで抗ヒスタミン薬などの薬物療法を行います。さらに症状が強い場合は、噴霧による点鼻薬も行います。
上記以外では、微量のアレルゲンを定期的に体内に注入することで、徐々に体を慣れさせてアレルギーを克服していく免疫療法というものもあります。